スプーンのカラー選択について 1
カラーが決め手である。
ルアーフィッシングを始めた当初は、ルアー特にスプーンではカラーが最大の要素であると思っていた。カラーによって魚たちの反応がまるで違うことを幾度となく経験していたからだ。黒には反応するが、赤には見向きもしないことがあった。初心者の僕としては、カラーは最もわかりやすい選択肢だった。その日の(時間帯の)ヒットカラーを見つけさえすれば楽勝だ、と本気で思っていた。当時は釣れている人のカラーが気になって、さんざん周囲を見回していた。カラーを制するものが魚を征すなどと、大きな声では言わなかったが。
カラーは一つの要素である。
最近では、カラーの評価は少々格下げ気味である。レンジやリトリーブ(スピード)などデリケートな部分の重要性を理解できるようになったのか? ここではカラーにテーマを絞り込んで話を進めていこう。ちょいとお付き合いを。損はさせません。
カラーについてはフライとルアーでは考え方に差があるようだ。ヒットカラーとして評価が高いオリーブについて考えてみたい。ルアーの世界ではペレット色として考えられている。フライの世界でも湖などの止水では、オリーブは黒と並んでヒットカラーとされている。しかし、魚の飼料であるペレット色というよりは、水の中では際立って目立つカラーとして位置づけられている。ネイティブフィッシュのいる湖でも高い実績をあげているからだ。
ここで少し科学の話にお付き合いを。
水の中では、光の三原色である赤は吸収されやす。青や緑は赤に比べて水の中でも影響を受けにくい性質を持っている。そのため、水の色はシアン(青緑)系の色をしている。ポンドなどでは、水中の植物プランクトンの色も影響するため、シアンと植物クランクトンの色を掛け合わせたものが実際の色とななっている。
モノの色とは、自身が発色しているのではなくその色が反射して起きる現象であることはご存知だろう。黄色の色がないところでは、黄色のものは全く見えなくなる。逆に黄色の世界では、黄色は一段と輝きを増して目立つ色になる。では魚たちはルアーのカラーはどのように見えているのだろう。
簡単な実験でその環境を体験してみよう。高速道路や国道に、オレンジ色に照明されているのトンネルがある。何か不思議な感じのする世界である。このオレンジ色の世界での色の変化をみてみると、オレンジや黄色系は鮮やかさを増して見える。赤や青はグレーっぽく見えるはずである。白は淡いオレンジ色に、そして黒は変色することなく黒に見える。
ポンドの中でもオレンジの世界と同様のことが起きている。水の中ではシアン系のフィルターがかかるため、カラー全般はモノクロのように明度が強調された色調になる。一方、オリーブは鮮やかな発色を示すと考えられるのだ。
つまりオリーブは水の中では目立つ。
ルアーのカラー選択で、水の色に合わせるというのは、目立つ色を選択することにほかならない。
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