一本の杭になる
久しぶりに旧友と飲みにいった。
そこで飛び出したのが、故開高 健氏の話。
懐かしい。
最近スコットランドに出かけて,何やらという貴族のご招待で釣りを体験したというのだ。
フライフィッシングを見よう見まねでやって、風景といい雰囲気といい、多いに感動したらしい。
普通なら,釣り具屋さんに走って釣り道具を買い漁ると思うのだが,同氏は本屋へ走った。
そこで見つけたのが“フィッシュ オン”。
釣りの名著ですね。ボクも読みました。
開高健に火がついて,全著作を読み漁ったという。やはり、変わってますね。
開高さんといえば、
京橋の交差点近くにあった「つるや釣具店」で、たまにお見かけしました。
あたまのてっぺんから独特のカン高い声を発しながら,いろいろと無理な注文をしていましたっけ。
ちょっとお話をさせてもらったことも。
この“フィッシュ オン”の中にある名言が
「川の中で一本の杭になる」というフレーズ。
雨に打たれながらも,来る日も来る日も,川の中に立ち込んでルアーを投げ続ける風景が目に浮かぶと思いませんか。
饒舌なまでの形容詞の連打に、打ちのめされたのはボクだけではないでしょう。
当時、ノースポール越えの機内から,朝日に輝くマッキンレーを一望したときの感激を思いだします。
ヨーロッパ気触れの青二才から,アウトドア派の若輩に変身したのも,その時のような気がします。
釣りに関する著作は,限りなくあります。
数ある作品の中でもやはりイチオシは“フィッシュ オン”
以降“オーパ”や“オーパ,オーパ”など幾つかの作品を出されていますが,ピカイチは同書でしょう。
ヘミングウエイも素晴らしいし、「釣りバカ日誌」も傑作ですけどね。
これを機会にもう一度読み直してみようか。
二十歳の“フィッシュ オン”とオヤジの“フィッシュ オン”
“老人と海”ももう一度。
まだお読みでない方は,是非にもご一読を。
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