魚たちの沈黙

久々に王禅寺にいってきた．

以前よりニゴリは増したものの、例年より透明度が若干高い気がする．
人為的に操作するのは難しいから、自然のイタズラか．
そういえば先週の朝霞Gのルアー池では、例年夏にフライ池に大量発生して悩ませるヘドロのような藻が季節外れに出てスタッフが除去作業におわれていた．聞く所によると土曜日当日になって異常発生したという．こんな発生は初めてとのこと．
1号池でもカナダ藻や糸状の珪藻類が相変わらず多数発生している．糸上の珪藻はルアーにまとわりついて始末が悪い．僕のように軽量スプーンを多用する輩は特に苦労する．ルアーに絡んですぐにアクションしなくなるからだ．キャストの度に絡んだ藻を取らなくてはならない．

今年の釣場は異常な状況が続いている．
自然界全体のサイクルが少しつづ変わってきているのだろうか．

快晴で雲一つない晴れやかな天気．湖面は光に輝き、周りの木々は紅葉が美しい．もう終盤ですが．
相変わらず魚の姿は多い．

外から見ると長閑な風景に映るだろう．レストランを訪れる人が多いのも頷ける．
水のある風景は心を和ませてくれる．食事をしながら景色を眺めている人たちには、釣り人は楽しそうに映っているのだろう．
釣り人たちは、釣れなくて黙々と機械のようにキャストを繰り返しているというのに．

王禅寺の面白さは訪れる人の多彩さだろう．

興味深げに釣りをしている様子を眺めているいるかと思えば、釣り竿を片手にランチを楽しむ賑やかな女性の群れを複雑な心境で見つめている男もいる．
かと思えば、スーツ姿の一団がなにやら視察をしている風景にも良くお目にかかる．新規事業の一つのモデルになっているのだろうか？
こんな都会的な落差の大きい状況は、他の管理釣り場ではお目にかかれない．

そんなことはどうでもいいな．

当日の魚の活性はイマイチ、いやヒサンだった．

開始1時間で４匹、バラシ2匹の貧果だった．
手を変え、品を変えと言うほどではないが、さまざまな攻略を試みるが、ほとんどのヒットはリアクションに近い交通事故的なヒット．
キャストの回数を稼いで、ヒット数上げるという原初的な戦略しかなさそう．ヒットがあってもあとが続かない．

沈黙、
沈黙、
沈黙、沈黙・・・・・・・・

ルアーを追うがバイトには至らないという典型的な低活性状態だ．

早々にルアーポンドに見切りを付けて、下のミックスポンドへ．

ここの池はいつも比較的空いている．
簡単というイメージが有るからなのだろうか．ルアーポンドの苦悩にプライドを持っている釣り人が多いようだ．

僕の管理釣り場経験からすると、難しいのと低活性とでは、話が違うと考えている．
難しい状況は魚たちが非常にセレクティブになり、ある一定の条件を満たさないとバイトしてこない状況である．この前提には魚に食い気があるということになる．無数ある攻略法から、魚たちの性感帯を探りあてることに難しさがあると思う．
ところが管理釣り場では、低活性の時は八方ふさがりである．まさに手も足も出ない状況になる．
魚たちは無関心に徹してくる．泳いでくるルアーには目もくれない．

正直にいえば解決策はなくはないのだろう．必殺ルアーなどを選択すれば解決できるかもしれない．

ただそれを使うか使わないかという自分のルールというか趣味の問題が残る．
そこまでして釣れなくてもという、バカな思いがどこかにある．
僕はあまりそうしたルアーや釣法を使いたくないので、ルアーローテンションならぬ、自分ローテーションを選択する．
より確率の高そうな釣場へと移動するのだ．

王禅寺ではミックスポンドで釣りをするし、朝霞では、1号池でも2号池でも釣りをする．
誰も見ていなければフライ専用池でもルアーを投げてやると内心は思っているがまだ実行する勇気を持てないでいる．

昔はプライド高き釣り人のひとりだったので、苦悩が快感への扉と思ってましたが．


エサ釣りの池側に立つと、順光で水中の様子がよく見えるので、サイトフィッシングが可能だ．
透明度が良くないので、表層近くを明るめのスプーンを使うことが必要になるが、

ここは小さなマスが表層をかなりの数泳いでいる．満員電車並みの密度といえるかも．
条件がいいと1投目からヒットするが、今日は簡単ではなさそう．

今日の状況を見ていると、小さめのスプーンが効果的なようなのでNOA.Jrを選択．
最近ではお気に入りのスプーンのひとつだ．重さの割には遠投も出来るのでありがたい．

数投目でヒット．
2、3匹バイトするがいずれもバラし．

ヒットするがすぐにスレてしまうようだ．まめにルアーをチェンジするとヒットするが連荘までは至らない．
反応がニブくなって来たので、駐車場側の日陰へ移動．
ここからだと日射の加減で水中がほとんど見えない．今度はブラインドでの釣りになる．

僅か数メートル移動するだけで、大きく環境が変わるのには驚いた．
ここではラメ入りのミントグリーンCLOSERを選択．
いま試しているルアーにひとつ．

連続してヒット．バイト数はかなりあるがバレが多い．フックを交換するがあまり効果がないようだ．

結構楽しんでいると、なにやら釣り人が急に増えてきた．それを機にルアーポンドへ戻ることに．

フライポンドを眺めながらルアーポンドへ．
いつもながら空いている．ここでもルアーで釣りをさせれば、とたわけことを考えながら歩いている自分にあきれる．
いままではルアーなんて邪魔でしようがないと思っていたのが、手のひらを返したような意見を吐くのだから．
人間は節操のない生き物ですな

東屋脇の階段を上って驚いた．池の周りは釣り人で一杯．駐車場側に僅かな空きがあるのでそちらに移動．

ポツポツと釣れている程度．皆さんを見ていても、黙々とキャストしている姿ばかり．ほとんど釣れていない様子．

ラメ入りが効いたので、ラメ入りのNOA.Jrで．

ちょっと沈めてからリトリーブする．午前中はちょいと沈め気味でヒットを拾ったので、2匹目のドジョウ狙い．

岸際でヒットする．続いてのヒットも岸より．

次はちょっと沖目でのヒット．これが思ったより表層で喰ってきたので、表層狙いにチェンジする．
ラメ入りのローテーションでそこそこの釣果が．
放流があるも、状況に変化が現れるほどのこともない．放流ポイントに位置する人たちのお祭り騒ぎもなく時間が経過．

活性は池が変わっても今日はあまり変化がないようだ．放流もイマイチということはストック池にいるマスたちにも、低活性が伝播しているのだろうか．しかしボクにはパターンは一貫性があるかも、との思いがした．

周りを見ている必ずしも小さめが有効かとは言い切れない．お隣では大きめのスプーンで結構つり上げていたし、右隣ではクランンクが効果を発揮していた．

信じるものが救われるのはどこの世界でも同じなのだろうか？